猫の壺
最終更新: 2019年1月7日

ウチには猫が2匹いるのですが、今一番居心地の良い場所があるようで、そこをとりあうかたちになっているみたいです。
というわけで、猫が入るベッドをつくってみようと考えました。
でも、ただのベッドじゃつまらない…
そこで、羊毛をフェルト化する技法でドーム型の物をつくってみたいと思い、いつも工房を利用していただいているエキスパートの作家さんに相談。
レクチャーを受けて見様見真似での挑戦となりました。
寒いこの時期にできるだけ暖かい場所を作ってあげようという考えですが…果たして気に入ってもらえるかどうか…

今回調達した羊毛はメリノウールを600g。高級品です。
毛束の画像をとり忘れたのは残念。
最初の型には、予め縮みを考慮し円形にカットしたエアキャップを使います。 その上に羊毛を少しずつちぎってできるだけ規則的に敷きつめていきます。 縦横縦横と重ね、敷きつめたら、一度石鹸水を吸わせて手で圧縮しながら擦ってなんとなく一枚にします。 それを裏返して同様の作業を行い、型を包み込むようなせんべい状のものにします。
この時点で直径80cmほど。
どれほど縮むか私には見当もつかないのですが2/3程度にはなるそう。
とにかくここからは石鹸水を吸わせて手でひたすら擦る作業になっていきます。
ひとまずこのせんべいの両面を、毛がある程度絡み合う感じになるまで擦っていきます。
そこそこ大きいので結構大変なんですよ、これが。

ある程度羊毛が一体化した感じになってきたところで、猫の入り口になる穴の部分を切り取って、中身の型を抜き取ります。
この時、内側もある程度羊毛が一体になっていないと型を挟んでいた上下がくっついてしまう可能性があるので、型を抜き取る頃合いを見極める必要があります。

ここからは最終的にどんなかたちにするかを意識しながら内側、外側と擦っていきます。
かなり力が必要なことや、内側などやりにくい箇所があったりと、一周終える頃にはそれなりの疲労感を覚えますが、まだまだおまんじゅう型には程遠い。
と、そんなところに友達が訪ねてきたので、「ちょっと擦ってみない?」というわけで、みんなでゴシゴシ…
普通、フェルトってチクチクやってくものだというイメージがあるのですが、皆さん全く予想外の作業だったようで、興味を持った様子。

それから1日1〜2時間程度、空いた時間にゴシゴシすることにしました。
壺のような形状を目指し、ベタンとならないように下からの立ち上がりを先に決めるつもりで高さを出していきます。

結構いい感じになってきましたが、まだシワがあります。
「このシワが消えるまで擦れ」という作家さんのスパルタ発言を信じてひたすら擦り続けます。
思ってた以上にこれは大変な作業。
なんとかシワがアバタになってきましたね。
この辺りで硬さがグッと増し、大きさもあれ?っていうくらい縮んできます。

ちょっと予想以上に縮んで、直径80cmあった円が50cm以下の大きさに…
でももう少し擦ってみますか。

というわけで、実働30時間以上を費やしてなんとか完成!
あとは染み込んだ石鹸を濯ぎ、洗濯機に入れて脱水します。
ここまでかたちが決まっていれば、かたちが崩れてもすぐに元に戻るという話だったのですが、ちょっと不安…
でも本当に簡単にかたちが戻りました。
そのまま干して乾かして、いざ猫のもとへ…

興味深々…
ちょっと入り口が縮んで小さくなりすぎたかも…

ぬをー!入りました!
やはり、度胸のあるこっち(女の子)でした。
いやー、よかったよかった、苦労してつくった甲斐がありました!
ご指導いただいた作家のAtsuko Sasakiさんに感謝です。